担当講師:吉本光宏(文化コモンズ研究所 代表)
【講義概要】
日本の文化政策について、1980年代からの潮流を振り返り、現状や課題の把握、文化予算からみた諸外国との比較などを行う。
2017年の文化芸術基本法の改正で国の方針としても明確に打ち出された文化芸術と教育や福祉、まちづくり、観光など他分野との有機的な連携について、国内外の実践例を広く紹介し、全国に広がる地域アーツカウンシルの動向も踏まえ、これからの文化政策のあるべき姿、創造都市政策との関連性を考える。
◎10月1日(火) アートから教育、学校が変わる
・講義動画
少子高齢化の進展、不登校児童生徒の急増など、子どもたちを取り巻く環境は変化しており、マイノリティと呼ばれる人たちなど、生きにくさを抱えた人も多い。このような中、「アート×教育」から生まれる可能性を示唆する取組として、アウトリーチ(もともとは「手を伸ばすこと、伸ばした距離」あるいは「(地域への)奉仕・援助・福祉活動」「(公的機関や奉仕団体の)出張サービス」という意味。)の広がりと定着があげられる。この活動として、国内では、公共ホール現代ダンス活性化事業を行う(一財)地域創造、芸術家ふれあい事業を行うサントミューゼや横浜市文化芸術教育プラットフォーム、国外では、英国のFind Your Talent、米国のカーネギーホール・ワイル音楽教育研究所などが挙げられる。これに参加した子どもたちに、自己肯定感、想像力、創造力、批評的思考力、社会性などに良い影響をもたらし、基礎学力の向上などにも寄与したとの調査結果もある。近年では、ASIAS(エイジアス Artist’s Studio In A School )という事業を行うNPO法人では、アーティストが、特別支援学級、児童福祉施設、少年院などへ出かけていって、先生・職員と協力しながらワークショップを実施する活動が行っている。これらの活動は、子どものみならず、先生、アーティストなど周囲の大人に対しても、良い影響を与えたことを示す現場からの声が多くある。
・講義資料