担当講師:鈴木伸治(横浜市立大学国際教養学部 教授)
【講義概要】
まちづくりと創造都市の接点を考える上で、重要なポイントとなりつつあるウェルビーイングやリノベーション、創造的人材をキーワードに講座をすすめる。大都市のみならず、都心周縁部や地方都市、人口減少地域などさまざまなスケールからまちづくりと創造都市の関係性を考える。
◎11月21日(木) 都市のウェルビーイングと創造都市 南雲岳彦(一般社団法人スマートシティ・インスティテュート代表理事・横浜市立大学特任教授)
・講義動画
ユニット10は、まちづくりの新しい潮流をピックアップし創造都市との関係を考えていく。今回は「都市経営におけるウェルビーイング」。ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良好な状態でいること(WHOの定義)」とされており、これは個人レベルのみならず地球環境も含めてウェルビーイングに含めて考えることが一般的になってきている。日本は世界幸福度報告ランキングで51位(2024)と低く、日本におけるウェルビーイングについては、特に精神的・社会的な課題があり、これに対応するためには、エビデンスに基づいた都市経営が必要がある。都市計画やまちづくりは手段であり、目的は「市民のウェルビーイング向上」である。この目的を最上位においた都市経営をするための指標として、ウェルビーイング指標が作成された。ウェルビーイングという抽象的な概念「私、コミュニティ、生活満足度」を、「都市環境、自然環境・・」などの項目に分け、さらに24の因子に分解して主観的・客観的にアンケート調査によって取得したデータから、地域幸福度(Well-Being)指標を設定しており、全国の指標を公開している。年齢別、地点別など詳細なデータを分析することで、幸福度と生活満足度に影響を及ぼしている因子を抽出し、この因子に対する客観指標(KPI)の目標達成を目指す政策立案を行う。政策アウトプット事例として、初めてこれを活用して基本計画(10年)を策定した浜松市、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中に位置づけた会津若松市、ウェルビーイング予算を編成した品川区のほか、小田原市などがあげられる。都市経営の中に「Purpose」を持つ時代であり、市民や企業にWell-Beingnaな生活環境を提供する都市には、優れた人材と企業が集まる。即ち、大学によるディープテック、アントレプレナーの養成、Well-Being都市(住みたい都市)が、世界の都市経営の新機軸となっていくと考えられる。
・講義資料