担当講師:佐々木雅幸(大阪市立大学 名誉教授)
【講義概要】
20世紀末の創造都市論登場の世界的な背景を踏まえて、理論的な先駆者であるルイス・マンフォード、ジェイン・ジェイコブズ、ピーター・ホールの紹介と検討を行い、次いで、21世紀の創造都市論登場の担い手であるチャールズ・ランドリーとリチャード・フロリダの所説の紹介と検討を行う。主に、欧米における創造都市論の展開過程をボローニャ、バルセロナ、モントリオールなどで検討したうえで、日本における創造都市の展開を金沢、神戸、京都などにおいて紹介し、その特徴を分析する。
◎6月18日(火) 現代の創造都市論(ランドリーとフロリダ)
・講義動画
「改革と伝統」「富の創造と社会的連帯」「地方の独自性とグローバル化」など、相反する課題を抱える都市問題に独創的な解決策を示してきたチャールズ・ランドリー。自由で創造的な文化活動と文化インフラストラクチュアの充実した都市こそ、イノベーションを得意とする産業を擁し、解決困難な課題に対応しうる行政能力を育てることができるとし、これを実現する「創造的環境」についてロンドンの都市政策の事例も交えながら論じた。
大量生産大量消費、新自由主義経済が行き詰まるなか、「創造階級」が好んで居住する都市や地域が経済的パフォーマンスに優れているとした「創造階級論」を提唱したリチャード・フロリダ。世界の都市政策に大きな影響を与えた「創造性指数」の3つのTは、人材(Talent)、技術(Technology)、寛容性・雅量(Toleranse)であるとした。また、創造拠点としての大学についてもフロリダの3つのTの相互に関連する役割論が展開された。
・講義資料