【講義概要】日本各地にはアーティストやクリエーターが活躍する創造的な拠点や活動が数多く存在している。本講座では、横浜の創造界隈拠点の中で注目される若手ディレクターたちが特定の創造的活動を選び、その活動について解説することにより横浜との違いを浮き彫りにする。

◎7月16日(火) 私立大室美術館:三重県津市(大室祐介(建築家)中谷ミチコ(彫刻家) 津澤峻(BankART1929))

・講義動画
三重県津市にある「私立大室美術館」。東京都出身の彫刻家と建築家のお二人は、ドイツから帰国後アトリエを探していたところ都内に見つけることが難しく、空き家だった祖父の家に2014年に住居兼アトリエとして移住をした。地域に打ち解けるため、畑を耕すことも考えたが、建築と美術をやってきた人間だからこそできることとして、住まいの目の前にある空工場を私設の美術館にリノベーションをした。滞在し創作をしていたドイツとイタリアから来たアーティストがつくった作品を、2015年秋に展示し、美術関係者など50名が訪れた。これが、美術館の始まりである。アトリエを開くことに加え、敬老会の日の一日だけ行う作品の展示、見たいと思うアーティスを招いて行う美術展(年間5日~10日ほど)を行うことで、美術館で地域住民と遠方から鑑賞に来る人との交流が生まれている。また、お二人も小学校、地元陶芸家、左官屋さんなど地域との繋がりが広がってきている。地域に認めてもらうために大事なことは「草刈り」。場を「開くこと」と「閉じること」を自らコントロールすることで、私設の小さな公共施設を無理なく継続していきたいとのお話が語られた。

・講義資料:提供なし