担当講師:野田邦弘(横浜市立大学 客員教授)
【講義概要】
産業構造の転換により都市経済の崩壊に見舞われた欧州工業都市の再生政策として、1980年代頃登場した創造都市政策は、今世紀に入る頃から欧州だけでなく、世界中で取組が一斉に始まります。本講義では、横浜の事例を皮切りに自治体政策の側面から創造都市の神髄とは何か考えます。また日本経済の衰退を創造経済の立場から総括し、創造性が日本再生のカギを握ることを示します(創造性教育の重要性)。また韓国での取組も紹介しながら、東アジア創造都市連携を構想したいと思います。
◎8月9日(金) 創造経済論〜ものづくりから知的財産へ、創造性教育論、クリエイターシティ・チガサキ
・講義動画
「自治体政策としての創造都市」最終回は、創造都市論が登場する歴史的・経済的背景について、日本経済衰退の理由、産業構造の変化を振り返りながら、創造経済・創造産業、教育改革まで語られた。日本経済衰退の理由は、総人口・生産年齢人口の減少、創造経済への産業構造の未転換などがあげられる。20世紀後半から、フリッツ・マッハルプ「知識産業」(1962)、D.ベル「脱工業社会の到来」(1973)が提唱してきた「知識社会」。ドラッカーは経済の基礎となる資源は「知識」であるとし、その後ランドリーは「知識」は道具や材料に過ぎず、本質は「創造経済」であるとした。欧米における「創造経済」「創造産業」の事例をはじめ、イノベーションに必要な要素である人材の集積(クラスター)とクラスター化によるセレンディピティの誘発、中間層が消滅する創造経済の特徴についても語られた。また、創造性教育として課題設定の重要性などに触れられた。最後に、ユネスコ創造都市ネットワークに「文学」分野で加盟申請(2025年)を予定している茅ヶ崎市の申請コンセプトである「クリエーターシティ・チガサキ」について紹介された。
<参考>YouTubeURL
■Johnson, Steve, TED talk− Where good idea come from ?
■Robinson, Ken(2006)「学校教育が創造性を殺してしまっている」TED-Talk
・講義資料