担当講師:吉本光宏(文化コモンズ研究所 代表)

【講義概要】
日本の文化政策について、1980年代からの潮流を振り返り、現状や課題の把握、文化予算からみた諸外国との比較などを行う。
2017年の文化芸術基本法の改正で国の方針としても明確に打ち出された文化芸術と教育や福祉、まちづくり、観光など他分野との有機的な連携について、国内外の実践例を広く紹介し、全国に広がる地域アーツカウンシルの動向も踏まえ、これからの文化政策のあるべき姿、創造都市政策との関連性を考える。

◎9月24日(火)文化政策の潮流と現在地、地域アーツカウンシル

・講義動画
「自治体政策としての創造都市」最終回は、創造都市論が登場する歴史的・経済的背景について、日本経済衰退の理由、産業構造の変化を振り返りながら、創造経済・創造産業、教育改革まで語られた。日本経済衰退の理由は、総人口・生産年齢人口の減少、創造経済への産業構造の未転換などがあげられる。20世紀後半から、フリッツ・マッハルプ「知識産業」(1962)、D.ベル「脱工業社会の到来」(1973)が提唱してきた「知識社会」。ドラッカーは経済の基礎となる資源は「知識」であるとし、その後ランドリーは「知識」は道具や材料に過ぎず、本質は「創造経済」であるとした。欧米における「創造経済」「創造産業」の事例をはじめ、イノベーションに必要な要素である人材の集積(クラスター)とクラスター化によるセレンディピティの誘発、中間層が消滅する創造経済の特徴についても語られた。また、創造性教育として課題設定の重要性などに触れられた。最後に、ユネスコ創造都市ネットワークに「文学」分野で加盟申請(2025年)を予定している茅ヶ崎市の申請コンセプトである「クリエーターシティ・チガサキ」について紹介された。

・講義資料