担当講師:鈴木伸治(横浜市立大学国際教養学部 教授)
【講義概要】
日本の創造都市政策については、文化政策、創造産業の振興、まちづくりなど多様なアプローチがみられる。このユニットではまちづくりの観点から創造都市の可能性について再検討していく。ここでは「リノベーション」「アーバニズム」「ウォーカブル」「郊外」をキーワードに講座を展開し、創造都市との関連性や、展開可能性について議論する。
◎10月3日 アーバニズムの時代へ(中島直人・東京大学教授)
・講義動画
近年、都市づくりの分野では、「都市計画」や「都市デザイン(アーバンデザイン)」から「アーバニズム」という言葉が使われることが多くなっている。「アーバニズム」とは、都市社会学を起源とする意味(事実概念)と都市計画学を起源とする意味(規範概念)があり、この二つの意味の重ね合わせた概念である。この動きにより、都市づくりは、都市計画の専門家だけではなく多様な人たちが関与していく「アーバニズム」という概念でまとめられる。都市デザインを行った2000年代を代表する都市である富山は、公共交通の活性化、公共交通沿線地区への居住推進、中心市街地の活性化を行うコンパクトなまちづくりを推進した。都心に生まれた広場グランドプラザで様々な市民活動が生まれているように、都心では新たな都市生活が育まれ、これはコンパクトシティ富山の「アーバニズム」とも言える。今後、都市の生活文化・魅力の再発見、再生、創造に積極的に関わる「アーバニスト」は、「つかいつづける」時代を自分で「つくる」社会へと変化を促す役割を担うことが期待される。
・講義資料