担当講師:鈴木伸治(横浜市立大学国際教養学部 教授)

【講義概要】
日本の創造都市政策については、文化政策、創造産業の振興、まちづくりなど多様なアプローチがみられる。このユニットではまちづくりの観点から創造都市の可能性について再検討していく。ここでは「リノベーション」「アーバニズム」「ウォーカブル」「郊外」をキーワードに講座を展開し、創造都市との関連性や、展開可能性について議論する。

◎10月10日(木) ウォーカブルまちづくりと創造都市(野原卓・横浜国立大学准教授)

・講義動画
ウォーカブルとは何か。5年~10年前から使われるようになったが、「歩行に適した、歩きやすい」といった整備条件から、「楽しい、歩きたくなる」といった動機付け、「暮らしやすい、居心地がよい」といった場づくりを含めたまちづくりへと意味が広がっている。これらは、交通安全・利便性、バリアフリー、目的地の存在、回遊性、快適性・空間の魅力、健康まちづくり、多様性などの視点で、取組を語ることができる。高度経済成長期から少子高齢化時代への変化により、これからの公共(的)空間、その中でも接する機会も量も多い道路については、「つくる」から「使う」時代へと移行している。ニューヨークにおけるプラザプログラムやオープンレストランなど、道路を単なる「通行空間」から「都市アセット」として活用した取組が見られる。国内においても、川崎市の武蔵小杉や横浜市の関内などでLQC(Lighter,Quicker,Cheaper)から始める「戦術的」なまちづくりの展開が見られる。また、静岡県伊豆の国市では、廃業した旅館の活用から始まり道路へと活動の場が広がった「伊豆長岡温泉お散歩市」などの取組により、来街者が増え、出会いや交流の場を育んでいる。

・講義資料